・はじめに これは、幻想郷で弾幕が全部麻雀に代わったらどうなる? というifの物語です。 嘘です、ただ単に東方キャラに麻雀打たせてみたかっただけなんです。 なるべく原作の設定を活かそうと尽力はしていますが、どうしても違和感のような物が出てきますので、 東方と麻雀と二次創作が好き、という方に、なるべく読んでいただきたいと思ってます。 ・麻雀に関する説明 ルールはなるべく一般的な物を採用していますが、私の周りの麻雀環境や地方での違いによって、 頭に引っかかるような点が幾つか出てくるかも知れませんがスルー推奨でお願いします(特に役満とか)。 点数計算も付け焼き刃なのでちょっと間違ってるかも知れません・・・orz ・採用している役 長いので最後にまとめてます。 念のため目を通していただければ読んでる途中に誤解をすることも少なくなると思います。 ・牌の表示方法 マンズ→漢字の数字 例:1萬→一 ピンズ→○で囲んだ数字 例:1筒→@ ソーズ→ローマ数字 例:1索→T 字牌→漢字 例:トン→東 赤牌→()付き 例:赤5萬→(五) 例えば大四喜の發単騎待ちならば、 『東東東南南南西西西北北北發』となります 萬子の純正九蓮聴牌ならば 『一一一二三四五六七八九九九』となります タンヤオ234の三色ピンフ聴牌ならば、 『二三三四四ABCUVW[[』となります。二萬と五萬待ちですね。 ツモ牌は、手牌13牌の右に、1マス開けて表示します 『東東東南南南西西西北北北發 發』 これなら四暗単騎大四喜字一色ツモ和了リですね、うらやましいです。 一牌ツモってそのままツモ切りであれば、 『東東東南南南西西西北北北發 一』 の様に表示します。これは、手牌が 『東東東南南南西西西北北北發』で一をツモったけどそのままツモ切りということです。 ツモって手牌から切る場合は、 『一 東東東南南南西西西北北北 發』 や 『三三四四 六 ABCUVW[[ 二』 や 『一一一二三四五六七八九九 H 九』 の様に、右端のツモ牌とは別に、手牌の13牌の中から1牌浮かせて表示します。 副露は、手牌の左側に2マス開けて表示します。 チーの場合は全牌を、ポンの場合は牌の横に鳴いた場所を示す矢印を表示します。 例えば『東↑』なら東を対面から鳴いたことを示します。 また、『東東↑』なら東を対面からポンしてさらに加カンしたことを、 『南カ←』なら南を上家から大明カンしたことを、『西カ』なら西を暗カンしたことを示します。 例えば『白→三二四  一一一 D EZ[ E』の様な場合、 白を下家からポンし、三で二三四のチーをし、Eをツモって手牌からDを切ってY\待ちになった事を示します。 ・説明終わり なんかめちゃくちゃわかりにくいですけど、こんな表示方法しか思いつかなかったんです、ごめんなさい。 まぁ思いつきとノリだけできちゃったのでご勘弁を(´・ω・`) というわけで、本編のはじまりはじまりです。    ↓この先約30バイト↓ 「さぁ、親のダブリーよ」  少女の声が響いた。続けて勢いのある打牌の音。打、東。  かなりの広さを誇る部屋には数十の自動雀卓が幾何的に並べられ、席に着く四人と幾人かの ギャラリーがそれぞれの卓を囲んでいた。会場の人数はざっと百人は居るだろうか、少女の声はその熱気に 遮られるが、同じ卓に座る彼女たちにははっきり過ぎるくらいに聞こえていた。 「かなり飛ばすじゃないか、霊夢」  先に発声した紅白の巫女衣装を身に纏う少女に、彼女の南家、黒服を身に纏う少女が声をかけた。 「予選ぐらいぱぱっと片付けないとね」  霊夢と呼ばれた少女は静かに答えた。ダブリーであれば、宣言した本人ですらある程度の動揺が現れるが、 その声には動揺など微塵も感じられない。  しかし一方で、霊夢の西家と北家には動揺がはっきりと現れていた。  この大会は、全局を通してのコンビ打ちだ。当然トップウマはあるので、コンビの片方がもう片方に 振り込み続け、最終的にハコになっても勝つことは可能だ。だがそんなこと関係なしに、親のダブリーには 威圧感があった。そして、トーンの変わらない霊夢の声がその威圧感を更に増していた。 「ま、息切れしないようにな」 「あら、振り込んでもいいのよ、魔理沙?」 「コンビ打ちであろうと私は敵から点棒をむしって勝つぜ」  言いながら、魔理沙と呼ばれた黒ずくめの少女は打、八萬。  対する妖精のコンビには瞬間安堵が伺える。  しかし、八萬を打っての二−五萬を助長する可能性も考慮に入れれば、やはり大した手がかりにはならない。 翻牌も下手に和了られれば相手の手を高くするので切れない。となれば、望むべくは現物、次いで手中で重なっている 親の客風であろうか。下手に一牌浮いている字牌も切ることはできない。  祈りながら、西家第一ツモ。 西『二EFGGTU[西白白中發 H』  五種六牌に一面子二塔子という酷い配牌。唯一の望みは白の対子だが、親がリーチをしているのでそう簡単に 鳴くこともできず、できることならベタ降りで行きたいが、現物はない。  となれば一番気分的に楽なのは二枚壁のHや、自分の風である西であろうか。  となればここは、和了られても一番手の低そうな西切り。  そう決意して、西家打、西。  霊夢は動かず、西家には寸刻の安堵。  それを見て北家は 北『二ACDHYYZZZ[\發 東』  の東ツモ切り。Zの三枚壁を生かして少しでも手がかりを増やしたいところだったが、 やはりリスクは高い。親のリーチ後最初の捨て牌に手がかりを求めるが、 「あら、一発ツモよ」  乾いた打牌の音にあっけなく望みは断たれる。 霊夢『一一一二三四五五六六七八九 四』 「16000オール」  妖精達に、博麗の力はやはり圧倒的だった。 「暇ねぇ……」  二週間ほど前、博麗神社の巫女、博麗霊夢は退屈していた。  毎年のように行われている新年から続く惰性の宴会も、新年を一ヶ月も過ぎれば落ち着きを取り戻す。  毎日宴会騒ぎでは、宴会の価値や楽しみが薄れてしまうからだ。  幻想郷の者は、皆それを等しくわきまえていた。  そのためこの日の夜は、大した宴会騒ぎもなく、ただ静かに過ぎていた。 「暇なんだぜぇ……」  普通の魔法使い、霧雨魔理沙も退屈していた。  退屈しのぎに来たはずの神社なのに、やることと言えば炬燵に足を入れてお茶をすする程度。  毎日毎日宴会騒ぎも芸がないとは思うものの、この退屈をしのげるなら、毎日宴会でもいいのかも知れないと 思ってしまう。  とはいえ魔理沙も普通の蒐集家に過ぎない。手持ちの名酒・銘酒にも限りがある。  何事にも限度は存在しているのだ。  それを理解してか、魔理沙は大人しく、差し出されたお茶を口にしながら、霊夢と同じことをぼやいた。 「暇だよー……」  幻想郷の百鬼夜行、伊吹萃香も退屈していた。  彼女にとって宴会は、息をすることとなんら変わりがない。  萃香は自分の瓢箪から無尽蔵の酒を得ることが出来るからだ。  だから彼女は尽きるということを知らなかった。尽きないことの価値を知らなかった。  そのため彼女は、この退屈が不服だった。  それで萃香は、つまらなさそうに二人と同じことを呟いた。 「なぁ霊夢、せめてトランプとかはないのか?」 「そうだよー、ナポレオンでも大富豪でもいいからさー。 あーでもさすがに三人でナポレオンは無理くさいよねー」  とうとう耐え切れなくなったのか、魔理沙と萃香は霊夢にたずねた。  よっぽど娯楽に飢えているのだろう、炬燵の上に突っ伏して唯一上げられた瞳からは、 まとわり付くような視線が霊夢に降り注いでいた。 「別にいいけど……三人でやったら面白くないわよ?」 「それでもいいんだぜ!」 「わーい、大富豪大富豪ー」  あまり気の進まない霊夢を尻目に、魔理沙と萃香のテンションは跳ね上がる。 「ハートの3からでいわねー」  声の主は霊夢だった。  そして数十秒後。 「ぎゃああ……」 「ひ、ひどいっ……」  そこには、ぷしゅうと頭から煙を噴出しながら炬燵の上で屍と化した魔理沙と萃香の姿があった。  霊夢に問答無用のワンターンキルをされたのだから仕方もない。 「どう? まだやる?」 「も、もういいです……」 「ゆるひてぇ……」  霊夢の前になす術もなく、完全に生気を失っている。 「だから3人だと面白くないって言ったのに……」 「私が悪かったんだぜ……」 「大人しくお茶を飲んでます……」  二人は湯飲みに手を伸ばす。 「まぁまぁそんなこと言わずに、これ持ってきたんだけどやらない?」  しかし、そんな二人とは対照的な明るい紫の声がかかる。  紫は炬燵の上にひとつのトランクケースのような箱を置いた。 「なんだこの四角いのは?」 「おー、麻雀牌だね」  先ほどまでが嘘のように、魔理沙と萃香は麻雀牌に眩いまでの視線を注いでいる。 「むこうでいいのが手に入ったのよ、一局どう?」  紫が開けた箱の中には、麻雀牌が整然と並べられていた。  使われたような感じはなく、新品のままの清潔な光を放っている。 「ていうか最初からそこにいたように話さないでよ、紫」 「ってうわ!」  霊夢に言われて初めて紫がいることに気づいたのか、魔理沙は驚いて素っ頓狂な声を上げた。 「ま、まったく、ビックリさせるんじゃないぜ……」  ぼやきながらじと目で紫を睨む魔理沙。 「まぁまぁ、そんなことよりやるなら早くやりましょ?」  霊夢が周りを急かした。 「あら、珍しく乗り気ね」  普段なら霊夢はこういったことにはどちらかといえば消極的だ。意外な感じと、紫は言った。 「麻雀なんて珍しいじゃない」  霊夢はむしろ、挑発しているような雰囲気さえ漂わせる。 「霊夢がそう言うなら話は早いわね、ルールは大丈夫?」  紫ははやる気持ちを抑えつつ、むしろ戦意を露にして残りの二人に尋ねる。 「私ならオッケーだよ」  喜々として答える萃香。声とは裏腹に表情には力が漲っている。 「教えてくれだぜ!」  力強くやる気満々で答える魔理沙。表情とは裏腹に、頼りないことを言っている。 「あ、あんた麻雀知らないのね……」  霊夢は自信に満ち溢れた魔理沙に半ば呆れる。 「むしろ打ちもしないのに覚えてる霊夢のほうが変だと思うんだぜ?」 「べ、別にいいでしょ?」 「まぁまぁ、こんなこともあろうかとちゃんと説明書も持ってきたわよ」  そう言って紫が取り出したのは雀牌を買ったときに付属しているような小さな説明書と手帳サイズの少し 厚みのある「初心者のための麻雀入門」。 「おー、さすが紫だな、気が利くぜ」  魔理沙はありがたくその二冊を受け取った。 「点数計算はこっちでやるからとりあえず最初の流れと役だけ見ておきなさい」 「了解だぜー」  言って魔理沙は、説明書のほうに目を遣った。 「そうそう紫ー、手積みなのか?」 「ご心配なく、ちゃんと自動雀卓もあるわよ、ほら」  言い終わるが早いか、紫は指を鳴らす。すると、炬燵の板の上にスキマが現れ、中から足のないタイプの雀卓が にゅっと出てきた。 「これもあっちからそのまま持ってきたものよ」 「おー」 「流石ねぇ、紫」  霊夢と萃香は一頻り感嘆した。 「親決め行くわね」  紫がその長い指で卓の中央にあるスイッチを押した。  賽が振られ、同時に牌がせりあがる。  5、9、2と出、起家は霊夢。南家に魔理沙、西家に萃香、そして北家に紫。  霊夢が返したドラ表示牌は白。確認し、牌を取っていく。 「はい、これ魔理沙の分ね」 「おう、悪いな」  霊夢は、まだ手順に慣れていない魔理沙の代わりに手牌を取る。 「ルールはアリアリ、三万点返しのトップウマ二万、順位ウマはなしよ」  紫による簡単なルール決め。  そうして霊夢、打西。 (さて、麻雀なんてホント久しぶりねぇ)  以前紫が麻雀を打ったのは今から十数年前だろうか。感慨に耽る。  今まで幻想郷では麻雀は流行ったことがない。外の世界のものが流れ着く幻想卿の構造から考えれば、 当然といえば当然だろうか。だから、身近にルールを知っている者が居て紫は嬉しくもあった。 (まぁ、楽しく打ちましょうか) 紫『一七八九九FFGGH Y Z[ \』  紫はそれぞれの手牌に目を遣る。 霊夢『TTVVWXXYZ[[\白 發 W』 魔理沙『一二三四四五五五六六八九E』 萃香『@@東東南西西西北白白發中』 (全員染まってるわねぇ……)  霊夢はソーズの混一か清一、高目で七対子まで行く可能性はある。  魔理沙もキー牌となる七萬を引ければ、待ち牌は少ないが四−五−六待ちの清一。  萃香も字牌の対子ができれば後は鳴くだけである。  いまだ五順目にも関わらずだ。改めて紫は幻想郷の力に我ながら感心した。  魔理沙は北ツモ切り、そして萃香は發をツモって北きり。 (だけれど、私のテンパイの方が早い)  紫、ツモ一萬、九萬切り。絶好の高目純チャン三色イーペーである。  しかしリーチはしない。高目と低目でこうも差があるのであれば、高目をダマで狙う方が遥かに有効だからだ。  その上、他家の手牌から見て裏ドラが乗る可能性も低い。  霊夢、\をツモって打白。 「ポンだよ」  萃香の声が飛ぶ。勢いよく白の刻子を滑らせ打、南。一向聴へ。 紫『一一七八九FFGGHZ[\ B』 霊夢『TTVVWWXXYZ[[\\發 A』  しかし紫、霊夢ともに手が進まず。霊夢も一向聴のまま。 (ん〜、魔理沙の手が進む……)  一方で魔理沙はキー牌、四枚目の五萬引き。リーチでツモ、或いは裏が乗れば三倍満の手。ダマでも十分だ。  しかし魔理沙の手は止まる。考えているのか説明書と手牌を往復する視線。  そして、ニカっと、魔理沙らしい笑みを湛え、 「カン!」  叫んだ。  紫には疑念が走った。カンはない、清一に行くべきだ、誰しもがそう思うからである。 そして、それを見越してのE−H待ち。  しかし、霊夢が裏返した新ドラ表示牌は三萬。魔理沙の手中ですでに重なっている牌だった。  さらに、 (……あらあら)  リンシャンツモは四萬、ドラ3。が、魔理沙は以前六筒を持ったまま八萬切り。 (こっちのテンパイにすでに気づいた……?)  しかし、素人同然の魔理沙にそれができるとは到底思えい。  魔理沙の意思が見えないまま、 萃香『白↑ @@東東西西西發發中 C』 紫『一一七八九FFGGHZ[\ X』 霊夢『TTVVWWXXYZ[[\\發 八』  魔理沙、四萬ツモ。先ほどにも増した声が飛ぶ。 「カン!」  先ほどとは違い、ドラの暗カン。流石といえども卓には動揺が現れる。 「九翻確定だぜ! リーチ!」  新ドラがまたもや三萬であったことがさらに動揺を広げる。  六萬を引いての九萬切り、六筒単機待ちリーチ。  しかし、紫には見えている。いや、見えているからこそ、この高目九筒待ちをした。次の嶺上牌、六筒が。 「カン!」  他家の警戒の中またもや魔理沙の声。六萬カン。  紫は目を閉じた。 「8000・16000」  リーヅモリンシャン三暗刻三槓子三連刻にドラは見えている限りで八つ。  点棒が魔理沙の目の前に並べられる。  おー、と魔理沙の手を除く霊夢と萃香を他所に、紫は息をひとつついた。 (麻雀を持って来てよかったわ……)  紫は誰にも見えないように唇を吊り上げた。 「ロン! 字一色、32000」 「ツモ! 自摸平和清一二盃口、6000・12000」  萃香が魔理沙からロン、霊夢はツモと、立て続けに和了る。  現在霊夢33000、魔理沙19000、萃香37000、紫11000で紫がラス目。 「ふぅ、やっと私の親ね」  しかし当の紫は意に介した様子もなく、淡々と牌を取る。ドラ表示牌は三筒。  そうして、打五策。乾いた牌の音は無機質に響く。 (紫は何をしてくるか分からないからなぁ……)  何分神出鬼没な紫のことである。むしろ今まで大人しすぎることの方が霊夢にとっては不思議だった。 (手配は十分、早く、重く行く!) 霊夢『二 WWXXYYZ[[\\南 X』  第一ツモ時、既に清一の一向聴、ツモがよければ二盃口もあり得る。仮に悪くとも、鳴きやすい形ではある。 分かりやすい、この場面には向いた手牌。全局の和了の流れもあるのだろう。  しかし、一人の手牌がよければ他人の手牌もいい場合が多い。 魔理沙『四五八八AABBCCC南 東 三』 萃香『G [東東東南南北北白白發發 中』  当然それぞれの思考もほぼ同じ、流せるなら早い方がいい。魔理沙はタンヤオ、萃香は翻牌の対子を 生かしての二回目の約満をそれぞれ狙う。 「リーチ」  が、当たり前のように放たれた紫の七萬が、その思惑を打ち破る。 (リーチが早すぎる……) 霊夢『WWXXXYYZ[[\\南 Z』  七策引きでW−X−Y待ちの多面張。ダマテンでいきたいが、南は場風。 (仕方ない、ここは突っ張る!)  打、南。  紫は動かない。萃香はそれを確認すると 「ポン!」  南をポン、手牌から出したのは、 (筋だ!)  五策の筋牌に当たる八策。十割、とまでは行かないが、通ると確信しての打牌。  が、通るのはあくまで大抵の場合。 「ロン」  紫はまるで、罠にかかった獲物を射止めるように手牌を倒した。 紫『二三四八八八CDEEFG[ [』 「リーチタンヤオ、裏が三つのってドラ4」  親の跳満、18000。 「なっ……」  前順、紫が切ったのは七萬、つまり、八策を切っての六−七−九の多面張も可能だった。  にもかかわらずの八策単騎。 (完全に狙い打った……?)  霊夢は思った。中張牌での単騎待ちなど、七対子でもない限り不自然すぎる。しかも三面待ちを蹴って 居るのだから尚更だ。一巡目の打五策も明らかな筋引っ掛けだが、攻め気の多い萃香を討ち取るには 十分な引き金になる。萃香にとってもダメージは幾らか想像できる。 (偶然にしては出来すぎてるわね……)   現在霊夢33000、魔理沙19000、萃香19000、紫29000  序盤早々の狙い撃ちとも思える待ち。また、魔理沙の異様なドラの乗り方、萃香の異常な字牌の集まり方、 自分の染まりやすさ。それらを鑑みると、能力とまでは行かないまでも、それぞれに何らかの傾向があっても おかしくはないかもしれない。 「次は霊夢、あなたの番よ」  先ほどと変わらない、紫の声。 (まぁ様子見か……)  次局、紫の親で一本場、ドラ表示は一筒。霊夢は一巡目から染め手によって現れる壁を生かしての降り。 「リーチ」  またもや紫の声が響いた。 (ツモ切りリーチ……)  七順目であり、先ほどのウラ3の例もある。霊夢はもちろんだが、魔理沙と萃香も降り気配。 (でも散々引っ張ってツモ切りリーチってことは……) 「ツモ。裏はないから6000オール」 現在霊夢27000、魔理沙13000、萃香13000、紫47000 紫『二三四五六七BCGGYZ[ A』  高目のドラ一発ツモ。 (ふぅ……)  霊夢は手牌に目を遣る。 霊夢『一二三三五六六七七七七AD』  数順前から紫のツモ切りは続いていた。五筒は最初から、二筒は紫のツモ切りが始まったのと同順、 初期には字牌もあったので、清一にまっすぐ向かっていれば二筒で間違いなく和了られていただろう。 「まったく、霊夢が避けるからツモるしかないじゃないの」 「それはどーも」  絶対的な自身、余裕、そして力に溢れた紫の視線が霊夢に注がれる。 「二本場、行くわよ……」  それからの二週間は、麻雀が幻想郷で流行するのに十分な時間だった。  もともと幻想郷は娯楽がありふれているわけでもなく、皆が皆暇を持て余し始める時期でもあったからだ。  麻雀のルールが多少複雑なこともあってか、流行はある程度の力を持つ妖精以上に限られていたが、 ブームを興すには十分な人数だった。牌や自動卓は紫によって幻想郷中にばら撒かれ、持っていない者のために 紅魔館の一部が雀荘化するほどであった。というのも紅魔館の主であるレミリア・スカーレットが麻雀の 熱狂的愛好家でもあり、普及には意欲的だったからである。初めこそレミリアを恐れるものも居たが、 次第にそれもなくなり、現在の紅魔館には熱気が絶えない。  競技人口が増えれば自動的に競い合いも大きくなる。  大会の需要があったのも、それらの要因が重なってのことだった。 『そおおぉぉれではああ!   『第一回幻想麻雀大会 幻想郷で一番麻雀が強いのは誰だ!?』開催です!』  大会の実況を勤める幻想ブン屋こと射命丸文の声が、会場とな紅魔館に響き渡った。  それに合わせるかのように、会場のボルテージは爆発する。  機材、資材一切は紫や永遠亭が、場所は紅魔館が全面的に提供したからこその盛り上がり。それこそ麻雀は 幻想郷に浸透していた。 『ステージにあります大型モニターは、十六分割、八分割され別室での全対局を映すことができます。 さらに、分割されたモニターをさらに五分割することで全員の手牌と場を同時に見ることも可能となっています』  会場は、客席とステージに大別されている。ステージには文の説明した大型モニターと実況席があり、 客席では一目で全対局の様子を一望することが出来る。当然対局場はこことは別であり、対局に支障が出ないよう 防音を始め、細やかな配慮がなされていた。  そしてここは、対局場へと続く通路。客席での大歓声はまったく聞こえない。 「なぁ、霊夢」 「どうしたの、魔理沙?」 「紫は手牌と山、全部が見透かせるって言ってたがそんな相手に勝てるのか? この前はボロボロに負けたが」 「分かんないわよ、ていうか考えても一個しか方法は思いつかなかった」 「お、なんだ?」 「相手より先に手を揃える」 「……えーと、それだけか?」 「しょうがないじゃない、手が見えるんだから何やっても同じでしょ?」 「まぁそれはそうだが……」 「それに、全部の牌が見えるって言ったってその状態で手を揃えるのは結構頭使うのよ」 「まぁそうだろうなぁ」 「それに、いつでも手が揃うわけじゃない、とにかく運勝負なのよ」 「結局麻雀の原点じゃないか」 「あら、いいじゃない、小気味よくて」 「それもそうだな」 『それでは! 選手たちの入場です!!!』 「お、放送だぜ」 「さぁ、行くわよ。流石に予選と同じようには行かないだろうけど」 「くー、緊張してくるぜ」 「ま、いつも通りに行くわよ」 「おう!」                           続く……? 『第一回幻想麻雀大会 幻想郷で一番麻雀が強いのは誰だ!?』ルール(準決勝まで) ・アリアリの半荘、コンビ戦 ・半荘三回勝負で半荘三回終了時に合計点数の多かったペアの勝ち ・誰かがハコになった時点で半荘終了 ・基準点は3万点、トップウマは2万点、順位ウマなし ・西入あり ・採用役は以下の通り ・その他は一般的なルールに準拠する ・一半荘終了時に十分の休憩 『第一回幻想麻雀大会 幻想郷で一番麻雀が強いのは誰だ!?』ルール(決勝) ・アリアリのコンビ戦 ・持ち点一人10万点 ・どちらかのペアの内、二人ともがハコった時点で勝負終了、点数がプラスのペアが優勝 ・採用役は以下の通り ・その他は一般的なルールに準拠する ・一荘終了時に三十分の休憩 ■採用役一覧 ・一翻 立直 <門前> 門前自摸 <門前> 翻牌 平和 <門前> タンヤオ(喰いあり) 一盃口 <門前> 海底摸月 河底撈魚 嶺上開花 槍槓 ・+一翻 一発 +一翻 <門前> オープンリーチ +一翻or役満 <門前>  プンリー宣言時にリーチしていない人が振り込むと役満。 他の役満と複合可。 ・二翻 三色同刻 三暗刻 三槓子 対々和 小三元 混老頭 三色同順 <食い下がり1> チャンタ <食い下がり1> 一気通貫 <食い下がり1> 七対子 <門前> ダブルリーチ <門前> ・三翻 三連刻 一色三順 純チャン <食い下がり2> 混一色 <食い下がり2> 二盃口 <門前> ・六翻 清一色 <食い下がり5> ・満貫 流し満貫 流し役満 ・役満 国士無双(十三面待ちはダブル役満) 四暗刻(単騎待ちはダブル役満) 四槓子(もちろん四暗刻と複合あり) 大三元 小四喜 大四喜(ダブル役満) 天和(国士無双、四暗刻など高目がある役満との複合の場合、複合する役満は高目で計算。例えば四暗ダイスーシー天和なら五倍役満) 地和(上に同じ) 人和 字一色 緑一色(發に関してはありでもなしでもどちらでも可) 清老頭 九蓮宝燈 <門前>(純正はダブル役満) 四連刻 一色四順 八連荘(七本場以降、親が和了ったらどんな役でも役満、和了役必須。他の役満と複合有り、他家の和了は+300×本場の点数) 十三不塔 大車輪 <門前> 紅孔雀 風花雪月 花鳥風月 萬緑叢中一点紅 ■出場者紹介(兼トーナメント表。上から二組ずつ対局) ・主人公ペア   博麗 霊夢     手牌が染まる程度の能力  霧雨 魔理沙    ドラが乗る程度の能力 ・閻魔ペア  四季映姫・ヤマザナドゥ 高目低目はっきりさせる程度の能力  小野塚小町       相手の手が進むのを遮る程度の能力 ・白玉楼ペア  西行寺幽々子    相手の待ち牌を殺す程度の能力  魂魄妖夢      相手の待ち牌を出さない程度の能力 ・緋想天ペア  比那名居天子    牌を見極める程度の能力  永江衣玖      流れを読む程度の能力 ・山の神社ペア  八坂神奈子     薄い待ち牌を引く能力  東風谷早苗     風を蓄える程度の能力 ・紅魔館ペア  レミリア・スカーレット 運命を操る程度の能力  パチュリー・ノーレッジ 流れを変える程度の能力 ・マヨヒガペア  八雲紫       牌が透けて見える程度の能力  八雲藍       流れを調整する程度の能力 ・竹林ペア  藤原妹紅      手が死なない程度の能力  上白沢慧音     相手の手を止める程度の能力と、味方の手を創る程度の能力 というわけであとがき代わりに息抜きの没選手紹介文(二重のパクリ、大分流用、つか前々スレの人勝手に使ってゴメン) 『竹林からあの二人がやってきてくれたー!!!  死ぬことが無ければ老いることも無い、死んだら死んだで復活だ!! だけど点棒が死んだら帰れよ! 藤原妹紅!!  歴史を操る妖怪! 点棒の移動は無かったことにするな!!! 上白沢慧音!!』 『お次は山の神社のあのお方々!!  酒に強けりゃ博打も強い! どんな牌でも引いてくる! 八坂神奈子だァー!  奇跡を起こす風祝! こいつとぶつかったら自風で和了ろうなんて思うんじゃないぞ! 東風谷早苗ーッ!』 『死の世界からはこの人たちの登場だ! 仕事はどうしたーッ!  どうせ和了るならハッキリ高目! 低目なんて目じゃないぜ! 四季映姫・ヤマザナドゥ!! 胸も高くなったr……  ペアはもちろんこの人! 妨害行動ならお手の物! つーかもたもたしてないで自分も進め! 小野塚小町!!』 『天界からはもちろんこのペア!  見切るのはいいけど即決は禁物! あんまり鳴き晒すんじゃないぞ! 比那名居天子!!  空気を読んで身を任せ、華麗に和了りきる! アシスト役としては随一! 永江衣玖ー!』 『白玉楼からはこの二人が参戦!  相手の待ち牌を食らい尽くせ! だけど今回の胃袋は小さいぞ! 西行寺幽々子!!  主人に習ってこちらも鉄壁! 如何にして相手の待ち牌を切り伏せる!? 魂魄妖夢だァー!』 『まさかこの方が来てくれるとは! 紅魔館ペア!  今夜はどんな運命を見せてくれるのか!? いつものメイドは封印しての参戦! レミリア・スカーレット!  技巧、戦術、タクティクス! この人を真に表す言葉はもはや無い! パチュリー・ノーレッジ!』 『そして! 今大会のきっかけを作った張本人! マヨヒガペア!  私に見えぬものは何も無い! テメェの手牌はオープンリーチより丸見えだー! 八雲紫!!  付いていきます紫様! 攻め、守り、アシスト! バランスは一級品! 八雲藍!!』 『さぁ、待ちくたびれたぞ! 私たちはお前たちを待っていた! 主人公ペア!  麻雀はパワーだ! ドラを集めろ! ドラを乗せろ!! 数え約満を打ちのめせ!! 霧雨魔理沙!!  紅白に身を染め、手牌までも華麗に染める! 如何なるものにも縛られない! 博麗霊夢ー!!』